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【絡新婦の理】目潰し魔に絞殺魔!事件の先には蜘蛛の姿が!

こんにちは、松波慶次です。

今回ご紹介するのは、京極先生の百鬼夜行シリーズ、5冊目となります!
『絡新婦の理』です。

以下ネタバレ注意です!

タイトル:絡新婦の理
著者:
京極夏彦

目次

あらすじ

女性が目を抉り殺されるという猟奇殺人が、巷では騒ぎになっていた。また、時を同じくして「絞殺魔」も登場し、警察はそれらの捜査に躍起になっていた。

一見、関係のなさそうに見えたそれぞれの事件は点と点で繋がっており、追究していくと縦糸、横糸が伸びている。それはまるで、蜘蛛の巣のようであった……。

女学校の一部生徒による悪魔崇拝や売春組織、女権の確立運動……すべては「成るべくして起きた」出来事なのか?

すべての事件を操る、絡新婦の正体とはーー?

感想

今作、二段組みの829ページという超大作でした。京極先生の本を知っている方なら分かるはず。超分厚いですよね(笑)

しかし、それだけ長くて分厚くて持ちづらい本なのに、飽きさせないストーリーの面白さ。熱中させる緻密さ。登場人物の個性さ。

いや~、今作も圧倒されましたね。スケールの大きさもそうですが、登場人物の人間関係も蜘蛛の巣のように複雑で、それをこれだけの長さの作品に漏れなく、矛盾なく入れ込むお力に脱帽です。

読んでいる途中、人間関係を頭の中で整理しながら読まないと混乱しました。整理して、納得して読み進めて……解体されていく事件の真相に驚愕、驚嘆ですよ。

そして、今作にも過去シリーズの登場人物は出てきました。

木場、榎木津、敦子などお馴染みのキャラクターはもちろん、『鉄鼠の檻』に出てきた益田さんや『魍魎の匣』の増岡弁護士や鳥口。

登場人物どころか、「バラバラ殺人」や「久遠寺家」に関する事件にも触れられていて、シリーズ全体を通して繋がる長い糸に慄きました。

この「百鬼夜行シリーズ」は、最初から順番に読むべきですね。途中から読んでもその作品のストーリーは楽しめますが、9割止まりといったところ。

最初から読んでこそ、10割思いきり楽しめるシリーズだと思います。

あ、先ほど、お馴染みのキャラで関口くんの名前を出しませんでしたが、今作、最後の数十ページにしか彼は登場しません。

京極堂はもちろん、憑き物落としのために思いきり登場しますが、他の主要人物だと木場、榎木津といったところでしょうか。

最後まで読んで、また、冒頭を読み返しました。最後まで読んで、冒頭の意味が分かったのです。否、読み返さないと、冒頭の意味が分からない。

冒頭を読み返して、意味が分かりました。そのようなページの順序(シーンの配列)も、今作は楽しめるところです。

「百鬼夜行シリーズ」の第5弾ですが、私は過去シリーズの中で一番好きな作品かもしれません。スケールの大きさ、事件性、登場人物、構成……。

「好き」ですね、今作。今後、今作を上回る作品が出てくるかもしれませんが、いまは一番好きです。

強い女性がたくさん登場する。女学生の美由紀も、とても強かった。権力に従う、聞く耳を持たない教師たちに罵られても屈することなく、怯むことなく真実と推察を述べる。彼女は、とても素敵な大人になると思います。

他にも強い女性はたくさん出てきたのですが、美由紀の強さが素晴らしく、美しかったので、どうしてもあえて語りたかった。

ぜひ、美由紀の頑張りを見てください。
あなたも、絡新婦の巣にわざとかかり、真相を突き止めてみませんか?