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【OUT(下)】もう引き返せない……四人が行き着いた先とは?

こんにちは、松波慶次です。
前回ご紹介した『OUT』の下巻を読了しました。

今回は、上巻を超えた面白さがありました。

『OUT』の上巻の感想はこちら!

以下ネタバレ注意です!

タイトル:OUT 下巻
著者:桐野夏生

目次

あらすじ

雅子、ヨシエ、邦子、弥生の四人の犯行によって、築き上げてきたものをすべて失った佐竹は、復讐のために行動を開始する。

もう一人、貸金業者の十文字も邦子や雅子の不審な行動の真相を確かめるために、邦子に接近した。

二人の男の行動により、四人はさらなる非日常の世界へと足を踏み入れることになる。

感想

面白すぎて、上巻に引き続き、連日寝不足で読了しました(笑)

邦子に近づいた十文字、てっきり弥生の保険金を狙っているかと思いきや、なんと雅子と新たな、そして特異なビジネスを始めるとは。

ノる雅子も雅子ですが、すでに日常に居場所のない雅子。嫌がるそぶりも見せず、かっこよく承諾。十文字と雅子のコンビは、結構いいコンビだったと思います。指示する雅子はかっこいいし、雅子に素直に従いながらビジネスをする十文字は、要領のいい部下みたいでかわいい。

そして、下巻で外せないのが、コンビといえるのか分かりませんが、佐竹と雅子の関係。佐竹の暗く、恍惚に満ちた過去と、佐竹の過去に引きずり込まれた雅子は、憎しみ合いながら、愛しさを感じ合う。

怖いやつだし、こわれてるけど、なんだか佐竹がかっこよく見えたし、雅子が「生きてほしい」と願う気持ちも分かりました。

雅子と佐竹、憎しみと愛しさを感じながら、二人で生きて新たな人生を歩んでほしかったと思いますが、過去を捨て去っていった最後は、後味が良く、「これで良かった」のだと思えます。

そうそう、雅子が十文字とともに佐竹にやり返したとき、「さすが雅子だ」と感心し、やり返せたことに爽快感を感じました。

雅子と十文字、雅子と佐竹。それぞれの繋がりは違うけど、どちらも好きな繋がりです。

上下巻に分かれていてボリュームがあるけれど、人物それぞれの思惑があり、リアルな「人間」を感じられます。物語のテンポもいいので、ページを捲る手が止まりません。

リアルな人間模様の緊張感漂うサスペンスを読みたい方におすすめの作品です。