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【悪徳の栄え・上】乱痴気騒ぎに拷問・虐殺!悪逆の限りを尽くした美女

こんにちは、松波慶次です。
今回ご紹介するのは、『悪徳の栄え・上』です。

「サディズム」という言葉は作者、マルキ・ド・サドの名が由来と言われています。

以下ネタバレ注意です!

タイトル:悪徳の栄え・上
著者:マルキ・ド・サド

目次

あらすじ

修道院にいた美女・ジュリエットは、そこで淫乱なことに目覚め、以後、拷問などの悪逆非道なものにも興奮を覚えるようになっていく。

弱き者が強き者に与するのは自然の摂理。強き者が弱き者に施しをするなど、嫌悪でしかない。

財も欲も自由自在にした、ジュリエットの物語。

感想

最初はただの乱痴気騒ぎ。男も女も入り乱れて、女×女、男×男も「普通」の世界。

ジュリエットは女のほうが好きでしたが、男と戯れるのも好き。欲望の赴くまま、好き勝手に欲を満たしていきます。

しょっぱなからすごい話だなーと思っていたら、乱痴気騒ぎではない出来事が続々登場!

余興のように拷問を楽しみ、「罪」を犯すことを楽しんでいくジュリエットやそのお友達たち。

悪徳の道が生きがいで、善の道など嫌悪でしかないジュリエットは、殺人も平気で行うように。

「サディズム」の由来が作者マルキ・ド・サドだとは聞いていましたが、拷問の話らへんから「あぁ、そういうことね」と納得の気持ちが出てきました。

もう、すっごい凄惨。汚物まみれは当たり前。毒で死にそうになっている相手にも色々します。

堕落して、色々とグロくて、悪逆で、冷酷で……支配する者と支配される者の対比がすごい。支配される者は、本当に、ただの「モノ」でしかない。

「悪徳」について語られるところも、圧巻です。とてつもなくひどいことを言っているのに「そうか」とつい納得しそうになってしまうことが、恐ろしい!

ものすごい長セリフで改行もほとんどなく綴られているので、多少の読みづらさはありますが、セリフの内容やストーリー全体の面白さが読者を離しません。

最後、ジュリエットは贔屓にしてくれていた悪徳仲間に見放されてしまい、殺されまいと逃げ出しました。

「このあとどうなるんだろう? 殺されるのかな?」と思っていたら、悪徳の精神を持ったまま生き続けるという……。

このジュリエットの話と対をなすと言われている妹・ジュスティーヌの話が気になりますね。「支配される側」の人間ってことなのかな?

おそらく下巻がジュスティーヌの話だと思っているので、続けて読んでいきたいと思います。

ちなみに、今作で唯一「蛇足っぽいな」と思った部分が、ジュリエットが逃げた先で出会ったロシア人の話。

ここでも悪逆非道な話は盛り沢山でしたが、わざわざ話の終盤に持ってこなくても良かった気がしてならない……。

なんというか、感じたのは、「漫画のストーリーがもうすぐ最終章に入るというのに、売れているからという理由で最終章を先延ばしにするよう依頼された漫画家」。

うん。簡単に言うと、「ないほうが締まりが良かった」と思える話でした。

まぁそれでも、全体を通して言うと面白かったです。グロさはそこまででもありませんが、性的なものが大部分を占めているので、苦手な方はご注意を!