こんにちは、松波慶次です。
小説投稿サイト「エブリスタ」に投稿していた短編コメディ小説「摩訶不思議戦国アドベンチャー」第18弾。
今作は「得物変え」の続編です。
続・得物変え
「兄上、私(わたくし)、得物を変えようと思います」
「またその話か」
真田信之は弟、幸村の言葉に頭を悩ませた。
前回は鎖鎌、大剣を提案してきたが、今度は何を言ってくることやら。
「実は、慶次殿に相談しまして、他の武将と被らない真新しい得物を紹介してもらいました」
(おいおいマジかよ。本当にあの傾奇者に相談したのかよ)
懸念していたことが現実となってしまった。信之は手の平で顔を覆い、幸村に気付かれないように溜息を吐く。
「……幸村、一応聞く。どんな得物だ?」
「はい、まず一つ目は、大槌です」
(オオツチ?)
すぐには思いつかなかった信之だが、漢字が当てはまると途端にその姿が浮かび上がってきた。その名の通り、大きな槌。ハンマーだ。
信之は想像してみる。幸村が大槌を持って戦場を駆け回る姿を……。
でかいハンマーは持ちづらいし、なにより重い。振り回すと動きが大きくなるので隙を生みやすく、刀と比べて速い攻撃もできない。
真面目に考えた末、信之は結論を出す。
「ダメだ幸村。色々不便」
「そうですか。慶次殿が、『目立って格好いいぞ』と言っていたのですが」
(まぁ、目立つけど……)
少しだけ残念そうにした幸村だったが、すぐに真剣な顔に戻った。
「では、もう一つ。手甲剣はどうですか?」
「てこうけん?」
幸村の発した言葉を、信之はまたしても一発で理解できなかった。
そして、先ほどより数秒長く思考したのちに、浮かび上がった。手甲剣とは、籠手に剣がついたもので、手首、腕を動かすことにより攻撃をすることができるものだ。
それが思い浮かんだと同時に、信之は高速で首を横に振った。
「いやいやいやいや、ダメだ幸村。手甲剣は」
「なぜですか? 慶次殿が、『この手の武器を扱ってるやつは少ないし、使いこなせばめっちゃ格好いいぞ』と言っていたのですが」
「馬鹿者! 考えてもみろ。攻撃範囲は狭いし、腕を傷付けられたら得物がなくなったも同然だぞ。無理に扱って手首を痛める恐れもある。デメリットばかりだ」
「確かにそうですが……」
まだ何か言おうとする幸村を遮り、信之は怒りを露わにする。
「大体だな、格好いいだのなんだのと、そんな理由で自分の身を守るための得物を変えようとするな。恥ずかしいと思わんか、馬鹿なことばかり言いおって。お前には十文字槍という優れた得物があるのだから、それを大事にしていきなさい」
最後の方は優しく、諭すように話す。幸村も信之の言葉が心に沁みたのか、申し訳なさそうな顔を浮かべながら目を伏せた。
(幸村、この兄の心を分かってくれたか)
信之がほっとして胸を撫で下ろそうとしたとき、先ほどよりも凛とした顔を上げた幸村が、口を開く。
「分かりました。では、十文字槍ともう一つ得物を持つ、両刀使いになるか、もしくは十文字槍をカスタマイズしていく方向で考えてみます」
「うっ……!?」
変な呻き声が信之から漏れる。そして、またしても手で顔を覆い俯きながら、幸村に聞こえるか聞こえないかくらいのか細い声で呟いた。
「……何か、もうなんでもいいよ」
信之の苦悩は絶えない。
完
あとがき
これを書いたのは2018~2019年くらいです。真田兄弟は好きです。
ゲーム「戦国無双4」でとうとう信之が出てきて、2023年くらいにSwitch版をやったのですが、信之のブラコンぶりが良かったですね。
ゲームのネタバレになるのでイヤな人はここで回れ右をお願いします。
DLCの「天下の色男決定戦」で、信之が幸村に「天下の色男」にならせようとしていたのが、面白かった。なんか、信之ってブラコンってイメージありますもんね。私の作品のなかでも、なんというか、天然・幸村と弟を心配する兄・信之になってますし。
そうそう、余談ですが、「戦国無双4」で松永久秀が出てきたの嬉しいです。個人的に好きな武将なので。将軍殺して大仏燃やして主君殺してという3大悪事をして乱世の梟雄とか言われてて野心家でかっこいい。とか思っていたのですが、近年の研究ではその悪事はすべてあの第六天魔王さんの仕業ででっちあげられたんじゃないかと言われてますね。厳密に言うと、大仏は実際に「燃えた」らしいですが、ここで詳しく書くと長くなるのでこのくらいで切り上げます。
とにかく、松永久秀、実は「ワルじゃなかった」っていう説が、歴史が解明されていって上がっているようです。
「ワルじゃなかったのか」とワルさに惹かれていた私は若干気落ちしましたが、それでも好きだぜ、久秀。
