こんにちは、松波慶次です。
これを読めば「サイコパス」が分かるという小説をご紹介します。
タイトルからして重そうな『死刑にいたる病』です。
以下、ネタバレ注意です!!
タイトル:死刑にいたる病
著者:櫛木理宇
あらすじ
筧井雅也は、輝いていた中学までの自分の人生と、冴えないいまの大学生活の自分の人生を比較し、卑屈になっていた。
そんなある日、地元でパン屋を開いていた榛村大和から手紙が届く。
なんと、榛村は連続猟奇殺人犯として拘留されており、犯した犯罪のうちの1件は冤罪だという。それを証明するために、筧井の力を借りたいという内容が記されていた。
筧井は、榛村のために調査することを了承する。
そして、調査を進めていくと見えてきた「榛村大和」という男の素顔と、自分との関係に心を揺さぶられーー。
感想
ザ・サイコパスな話でした。
サイコパスとは、反社会的人格者であり、人の気持ちが分からないとされています。
以下は私の「サイコパス」のイメージですが
- 人相がいい
- 言葉は優しい
- 人の心に寄り添うのが上手い
- 「私のためにしてくれている」と思わせるのが上手い
- 冷静沈着
- 状況把握に長けている
- 人の痛みが分からない
- 白か黒かはっきりさせる
という性格がサイコパスと言えるのかな、と思います。
もちろん、上記に当てはまったとして必ずしもサイコパス! というわけではないと思います。
あくまで上記は、私が抱くサイコパスのイメージですから。
うーん、結局サイコパスってどういう人なの?
と悩まれる方は、ぜひこの作品を読んでみてください。
この作品に登場する榛村大和こそ、まさに「サイコパスの鑑」ですから(褒められることではないですけどね……)
榛村の幼少期や生い立ちに同情しないことはなかったですが、
虐待されたり施設育ちの子がみんな犯罪を犯すというなら、そういう境遇の出でも真面目に生きている子たちを冒涜することになる
というような言葉を作中で読み、そりゃそうだと納得しました。
不幸を嘆いて犯罪に走ったり、性格が歪んで犯罪に走る人ばかりがいるわけではありません。
そういう境遇だったからこそ、作中の榛村織子のように「被虐待児」を保護する活動をする人だっていますからね。
ただ、やはり人の性格は生い立ちに関係あると思うところもあります。
私は、世界の殺人鬼について少しだけ調べたことがあるのですが、海外の有名な殺人鬼も、幼少期に虐待されている人が多いんですよね。
「ハンニバル」のレクター博士と似ていると言われるイギリスのロバート・モーズリーや、一晩で看護師8人を殺害したリチャード・スペックなど。
人間の性格は2歳までに確立すると言われますが、それだけ、幼少期に受けた傷、見た悲劇は心に刷り込まれるのでしょう。
話が少しずれましたが、この「死刑にいたる病」という作品、ただサイコパスが分かるだけでなく、ストーリーもとても面白いです。
榛村の人心掌握術や、人を操る力がすごすぎる。筧井もそうですが、私も見事に誘導され、騙されました。
嘘を吐くときは、9割は真実を話し、1割で嘘を吐く。
だそうです。榛村が言っていました。
そもそも、嘘を吐くことが苦手な私は、そんな高等技術使いこなせる気がしません(笑)
9割真実を話したら、残り1割もぽろっと真実を言っちゃいそうです。
サイコパスは、やっぱり「一般人」と思考回路が違うな~と感心しました。(感心していいのか?)
榛村に踊らされたい方、サイコパスの頭を覗いてみたい方は、ぜひ読んでみてください。
あ、グロイ表現や痛々しい表現もあるので、苦手な方は注意してくださいね。
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