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【シライサン】怖いのは”呪い”の怪談話かそれとも……

こんにちは、松波慶次です。
今回ご紹介するのは、『シライサン』です。乙一さんの小説、久々に読みました。

以下ネタバレ注意です!

タイトル:シライサン
著者:乙一

目次

あらすじ

山村瑞紀の友人が、突然眼球を破裂させて死んだ。死因は、心不全。しかし、彼女は死ぬ直前に何かを見て、怯えていた。

同様に、鈴木春男の弟も変死をしており、山村と鈴木は真相解明のため調査をすることに。

すると、死んだ2人とも、ある怪談話を旅先で聞いていたという。2人とともに怪談話を聞いた1人の女性に会うと、その女性から、”呪い”が発動する怪談話を聞いてしまいーー。

感想

久々に乙一さんの小説を読みました。そして、謎なところも残る終わり方でした。

結局、「シライサン」という名前が登場する怪談話は、「シライサン」という名前を聞いたら呪いが発動するのではなく、おおまかな「シライサン」の怪談話を全部聞いたら発動するということだったんですかね。

「シライサン怪談」として世間に広まったということは、「シライサン」という名前が呪いのトリガーとなるわけじゃなかった。

あと、溝呂木さんから怪談話を聞いた少年時の渡辺は、大人になるまで何事もなかったのはなぜなのか。3日に一度、女がやってくるのなら、少年時から大人になるまで、何かしらあったり、大人になってからも対処したりしそうなものなのに。

蔵の中の女は、石森ミブだろうと思いました。そこは、溝呂木さんと意見が一致しました。そして、村人を山の神に捧げて、死産した我が子を改めて妊娠。村の混乱に乗じて脱出し、住み込みで働きながら子供を出産……。

と、書きながら思ったのですが、石森ミブは別で本当に存在していて、蔵の中の女の世話係だった。蔵の中の女は、怪談話を村人に流布してもらうために石森ミブに話を記した紙を渡し、村中に広めてもらった。その呪いのせいで、石森ミブも死亡。

蔵の中の女は、石森ミブの名を借り、石森ミブとして生きた……うん、これもありえそうです。

そして、石森ミブの孫の冬美も、祈祷師の力を持っていた。だから、夫の命と引き換えに……いや、わざと流布して大勢の命も引き換えに、死んだ娘を山の神に返してもらった。

本作、すべてが明るみにされるわけではないので、いろいろと考察してしまいます。「死来山」の意味も、はっきりと記されていませんからね。

だからこそ、いろいろと考えるのが楽しいです。読み終わり、考えをまとめたくてすぐにブログを綴り始めました(笑)

本作、ホラー小説ですが、背筋がゾッとするとか、怖くてページを捲るのに躊躇するとか、そういうことはなかったです。ホラーといってもライトな感じでした。

ホラー小説苦手な人にもおすすめできる1冊です。乙一さんの小説は読みやすいので、その点でも楽しめます。