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【流浪の月】被害者と加害者の奇妙な関係!誰も介入してはならない深い愛

こんにちは、松波慶次です。

いま話題の本屋大賞受賞作、『流浪の月』をご紹介します。

以下ネタバレ注意です!!

タイトル:流浪の月
著者:凪良ゆう

あらすじ

9歳の家内更紗は、両親を失い、伯母の家に預けられることになった。しかし、そこに自分の居場所はない。

公園で孤独を感じていると、一人の男が更紗に近付く。

そこから、2人の奇妙な同居生活が始まる。「誘拐事件」として事件が暴かれるまでの2か月は、
2人にとって幸せだったーー。

事件から15年。

被害者である更紗と加害者である佐伯文に向けられる、変わらぬ侮蔑、好奇、同情の視線。

自由ってなに? 優しさってなに?

読んだものの心に波紋を広げる、問題作。

感想

本屋大賞受賞作。

期待値は高く、それでいて、バイオレンスさもエグさもなさそうなタイトルに、果たして私は楽しめるのだろうかという疑惑もありました。

結論から申し上げますと、非常に良い

目を見張るような展開があったわけではありませんが、流れるような文章、ポンポンと小気味いい展開に、ページを捲る手が止まりませんでした。

この記事のタイトルに「愛」と入れましたが、それは「恋愛」の「愛」ではありません。

慈しみ、親しみ、大切にしたいという思い……それらすべてを愛だと認識しております。

その「愛」が、更紗と文の間にあるからです。

読んでいて、胸がムカムカする場面も多々ありました。

小児性愛という嗜好、更紗が警察にも恋人である亮にも、はっきりとモノを言わないこと。亮のクズな態度、周りの偏見と勘違いした優しさ。

そう考えると、最初から最後までムカムカしていたかもしれません笑

なんでそこではっきり言わないんだよ!」と叫びたい場面や、呆れる場面がありすぎて、ある意味、読むのに疲れる作品でした。

それだけ私の心をかき乱し、揺さぶり、独占するほど、素晴らしいストーリー。

読んで良かったですし、本屋大賞を受賞するのも納得です。

周りの優しさが、その人を傷付けることもある。事実と真実は違うかもしれない。他人には理解できない絆に、他人が介入するべきではない。

「孤独」な人

「自由」になりたい人

「周り」を気にしすぎる人

ぜひ読んでみてください。

……余談ですが、私は小説を書くときに「口語」と「文語」を気にします。

今回、「流浪の月」を読んで、

けれど~

なのに~

が使われているのを読み、

だが~

しかし~

じゃなくてもいいんだ。

と、困惑とともに衝撃を覚えました。

舞城王太郎さんの『煙か土か食い物』を読んだときも「感嘆符のあと全角ヒトマス空けてない!!」と衝撃を受けましたが(小説のルールでは、感嘆符のあとは全角ヒトマス空けなくてはなりません)、今作を読んで、

なんだ、小説って結構自由に書いていいんじゃん

と思ってしまいました。(思っていいのかは分かりませんが(^^;))

より、執筆しやすくなった。そういう心情的にも、読んで良かったと思います。

『煙か土か食い物』の読書記録記事はこちら↓
【煙か土か食い物】ヘイヘイヘイ!暴力とサスペンスと家族愛だぜ!?

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