こんにちは、松波慶次です!
今回ご紹介するのは『QED百人一首の呪』。
ミステリー好きはもちろん、百人一首好き、歴史好きにはおすすめの1冊です。
以下ネタバレ注意です!
タイトル:QED百人一首の呪
著者:高田崇史
あらすじ
百人一首好きの金持ち社長、真榊大陸が何者かに殺された。
容疑者は、大陸の子供たちと秘書、家政婦である。死んだ大陸氏が握っていたものは、百人一首のある札一枚。
ダイイングメッセージと思われるが、捜査は難航。そこで、百人一首に詳しい漢方薬剤師、桑原崇が頼られることに。
彼が導き出した答えとは?
また、大陸氏殺害の犯人と百人一首に隠された謎とは……?
感想
犯人よりも、百人一首に隠された謎にもうびっくりでした!
藤原定家と後鳥羽上皇の関係や、百人一首に登場する者たちの顛末等々、興味深く読ませていただきました。
曼荼羅や陰陽五行説など、深い話もあり「これはただのミステリー小説じゃない!」という思いに駆られます。
もちろん、ミステリー小説としても面白いです。家政婦がサヴァン症候群であった、という真相は「ちょっと無理やり感が……」と思ってしまいましたが、許容範囲内!
犯人も意外な人物ではなく、「そうか」と納得できるもので、真相解明(陰陽五行説などを除く、殺害動機等)はサラーっと(悪い意味ではなく)心に落ちてきました。
やはり、この作品のすごいところは百人一首!
歴史的観点や札の連結など、面白い! と思うところが多く実際に札を並べてみたくなります。また、詠み人の人間関係も深堀りしたくなってきます。
犯人の動機などより、そちらのほうでとても楽しめました(笑)
キャラが立っているのも、面白いところです。
振り回される薬剤師の奈々ちゃんに、偏屈でクールな崇、熱血漢の熊つ崎。忘れてはいけないのが、同じく偏屈な外嶋さん。
どのキャラも魅力があり、振り回される奈々ちゃんがかわいそうだけど羨ましい(偏屈な人たちから面白い話をたくさん聞かせてもらえて)。
ページに百人一首の並びなどが挿絵で入っているので、そこも分かりやすく楽しめるポイントです。
この作品は、ミステリー好き以外にも、百人一首や歴史に興味がある人はとても楽しめると思います。
いずれかに当てはまった人は、ぜひ手に取ってみてください。
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