こんにちは、松波慶次です。
今回ご紹介するのは、宮部みゆきさんの長編デビュー作『パーフェクト・ブルー』です!
以下ネタバレ注意です!
タイトル:パーフェクト・ブルー
著者:宮部みゆき
あらすじ
元警察犬のマサは、蓮見探偵事務所で優秀な調査員の一人(一匹)として活躍していた。
ある日、調査員の加代子とともに家出少年の諸岡進也の捜索をし、無事に見つけることができた。しかし、その直後、高校野球のエースである進也の兄、克彦がガソリンをかけられ燃やされるという凄惨な死体となって発見される。
犯人は克彦の活躍を妬んだ友人だと判断されたが、犯人は別にいることを蓮見探偵事務所は突き止める。進也とともに真犯人調査に乗り出す。
一方、ある製薬会社は秘密裏に怪しげな動きを見せていたーー。
感想
読了後、やはり宮部みゆきさんはすごい!と感嘆です。長編デビュー作なのに、キャラ立て、ストーリー、すべての伏線回収が素敵すぎます。
この作品で面白いのが、語り手が元警察犬のマサであること。
ときおり、人間と犬族との違いを達観したように話すところや、犬ならではの感想を抱くところが「犬になりきって書かれている」ことを強烈に感じ、宮部さんの想像力のすごさを改めて感じます。
蓮見探偵事務所は、加代子の父親である所長と、妹の糸子がいます。糸子は高校生なので調査員ではありませんが、探偵事務所が自宅を兼務しているので糸子もよく登場します。
そして、この糸子がすごく可愛い。可憐、とか、お茶目、というわけではなく、「物怖じせずハキハキものを言い、強気な性格」がとても可愛らしいのです。
探偵事務所の面々や進也が命の危機に陥るところがあるのですが、そこでも糸子はまったく怖がっていない。それどころか、犯人に対し憎まれ口を叩く始末。
読んでいるこちらが「おいおい、大丈夫か? 殺されないか?」と心配になるレベルです(物語の主要人物なので殺されるはずはないと分かっているのですが、現実で考えると殺されてもおかしくない場面だったので心配になりました(笑))
高校野球のエースの殺人事件。物語はそれだけで終わらず、投薬実験という恐ろしい話が裏に隠されていました。それによる強請り、副作用、隠蔽など、大人の事情がたくさんの話も絡み、事件は転がっていきます。
そのため、「もう事件が解決しそうだけど、ページ数まだまだあるなぁ。どうなるんだろうなぁ」という疑問も、すぐに解消されます。
最初から最後まで楽しめる推理小説。ユーモアあり、感動あり、アクションありの多くを堪能できる作品。ぜひご一読ください。
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