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【王妃の離婚】権力に屈せず悪を叩く!敏腕弁護士の華麗なる法廷劇を見よ

こんにちは、松波慶次です。

テレビドラマで、弁護士はよく主役になったりしますよね。人気の高いドラマの名を挙げると、「リーガル・ハイ」があります。

変わり者の弁護士、古美門が峻烈極める弁舌で法廷を思いのままにする。とても見応えがあり、壮観です。

今回ご紹介するのも、弁護士が主役。リーガル歴史小説『王妃の離婚』です。

以下ネタバレ注意です‼

タイトル:王妃の離婚
著者:佐藤賢一

あらすじ

ときは1498年のフランス。王であるルイ12世は王妃ジャンヌと離婚したく、裁判をしていた。

裁判にはルイ12世の息のかかった者たちが鎮座し、ジャンヌは圧倒的劣勢。このまま権力に打ちのめされてしまうのかと思いきや、そこに名乗りを上げたのはフランソワという弁護士。

フランソワは、いまは落ちぶれているがかつては栄光を背負うほどの敏腕弁護士だ。

「インテリは権力に屈しない」

その言葉とともに、悪意ある裁判に弁舌という名の牙を向けるーー。

感想

これは!

とても!

面白かった!!!

ルイ12世と王妃ジャンヌの離婚は実際にあった話で、それをモチーフに歴史小説として描かれています。歴史としても学びになりますし、リーガルものとしても読んでいる者を興奮、熱狂させるほど面白いです。

フランソワは、元々優秀な人物でしたが、ジャンヌの父でありルイ12世の義父であるルイ11世にあることでこっぴどくやられてしまいます。

そこで、愛する女性、ベリンダと離れ離れになり、会うこともできなくなって、落ちぶれていきます。

ルイ12世とジャンヌの離婚裁判は、最初は傍聴席で聞いているだけでした。その理由も、かつて自分をコテンパンにしたルイ11世の娘、ジャンヌが地に落ちるさまを見たいという復讐の思いからでした。

しかし、フランソワは気付くのです。自分はジャンヌが憎いのではない。権力が憎いのだと。

「インテリは権力に屈してはならない」

若い頃から口走っていた言葉。いまこそ、この言葉を胸に、立ち上がるときだ。

離婚したいルイ12世の思惑通り、ジャンヌが劣勢の裁判は進みます。

もう成す術がない……!

そのとき、フランソワは立ち上がり、鍛え抜かれた弁舌で裁判をひっくり返すのです。

その姿が、とてもかっこいい!!

本来の姿を取り戻し、まさに言葉の剣で戦っていくのです!

そこに痺れる憧れる~~!!

まさに、そんな状態ですよ。

相手は権力に揉み手状態の情けない検事や判事。そんなもの、フランソワの敵ではありません。

フランソワがかっこいいのは、弁舌だけではない。

とうとう姿を現したルイ12世が、権力をちらつかせ「富」を与えようとしたならば、それを一蹴しジャンヌの弁護士を続ける姿勢を見せる。

また、裁判で思いを通わせたまとも(?)な判事、アルメイダから純粋にその才能を買われ、

ローマ控訴院で一緒に働いて欲しい

このままだとルイ王に暗殺される恐れがある

とフランソワが感激するほど名誉なことに誘われ、しかも身の心配をされても、ジャンヌの弁護士を降りませんでした。

1人の弁護士として、依頼人を裏切らない。依頼人と絶大的な信頼を築き、最後まで戦う。

その男らしい姿に、胸打たれました。

本当に、フランソワはかっこいい! これは、ベリンダもジャンヌも惚れますわ!!

反対に、ルイ12世は無様でしたね。ジャンヌは堂々と法廷に姿を現しているのに、ルイはずーっと隠れている。

嘘をつき、ジャンヌを傷付け、喚いて、みっともない姿をさらす。権力をちらつかせ、愛想だけが取り柄の玉無し王。

フランソワの言葉を借りると、今回の裁判で、ルイ12世は「男を落とした」。まさに、その一語に尽きますね。

ジャンヌも、最後に目を覚ませてよかったと思います。ルイ12世なんかよりも、いい男は他にいるってことに。

この話の面白いところは、裁判の様子はもちろんですが、最後の最後で暴かれた真実です。

悲哀ばかりがフランソワにのしかかっていましたが、その真実で、最後の最後に少しだけ救われました。

裁判の弁舌、フランソワやジャンヌを取り巻く人々の心情、権力の闇……多方面から楽しめる、素晴らしい歴史小説でした。

これは、痛快劇として、また、人情劇として、多くの人におすすめしたいです。

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