こんにちは、松波慶次です。
今回は、小説投稿サイト「エブリスタ」で短編で連載していたコメディ小説「摩訶不思議戦国アドベンチャー」をご紹介します。
私は大の歴史好き。中でも戦国時代が大々大好きでございまして、その思いが爆発し筆を執った次第でございます。
と、いいましても、内容はギャグ・コメディ。
連載していましたがそれぞれ独立した話になっておりますので、①から、②から、⑩から読んでいただいても大丈夫です。
おふざけまっしぐら&自由に書いていますので、真面目な歴史小説でないことはご承知おきください。
(いつ書いてたんだろう? 投稿日が載っていなかった……。少なくとも1、2年前だな)
織田信長と豊臣秀吉
(暇だ)
岐阜城のある一室で、織田信長は暇を持て余していた。
(こういうときは、あいつを呼ぶしかない)
「猿はおるか?」
「お呼びでございましょうか!?」
そう、あいつとは、信長の配下であり、ぼろ雑巾のようにこき使える、豊臣秀吉である。どこに控えていたのか、颯爽と現れた秀吉は、信長の前に正座する。
「おい猿。何かやれ」
「えーっ! 無茶ぶり!」
無理やりな主君からの命令に度肝を抜かれた秀吉であったが、そこは世渡り上手の見せどころである。
「では、僭越ながらお目にかけます。この秀吉、鼠になれます」
「む?」
訝しむ信長の前で秀吉はすっくと立ち上がると、上唇を鼻に寄せ、なんとも可笑しな表情を作った。
しかし、上唇と鼻の間には、左右に三本ずつの皺が刻まれ、さながら、鼠の髭のようであった。
「お主、はげ鼠がよりはげ鼠に近付いただけではないか」
「はっ! わたくしめは猿にも鼠にもなれまする」
秀吉は自信満々な様子で、なおもその可笑しな表情を浮かべ続けている。
その顔を見ていささか呆れた信長は、はぁっと溜息を吐いたあと、何かを思い立ったかのようにその眼光を鋭くする。
「おい、猿。そのままの格好で服を脱げ。そして、歯を前に突き出せ」
「えぇ!? 信長様、何をおっしゃいます!?」
流石の秀吉も、信長の不可思議な命令に可笑しな顔をやめるに至った。
信長は不敵に笑うと、いい案だというように顎に手をやった。
「ハダカデバネズミになるなーと、思ってな」
「なんですのそれ!?」
秀吉のツッコミが、空に響き渡った。
ハダカデバネズミ。秀吉が知るはずがない。ってか、信長も知るはずがない。
今日も織田軍は平和である。
完
あとがき
ほのぼのとした織田軍を書きたかったんだろうな~。
いつも殺伐とした感じだし、ザ・ブラック企業だから。
といっても、この信長の無茶振りはパワハラですが(笑)