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【崩れるー結婚にまつわる八つの風景ー】貫井徳郎氏が描く短編集

こんにちは、松波慶次です。
今回ご紹介するのは、あの『慟哭』の作者・貫井徳郎氏の短編集『崩れる』です。

以下ネタバレ注意です!

タイトル:崩れるー結婚にまつわる八つの風景ー
著者:貫井徳郎

あらすじ

責任能力がなく、すべてを人任せにする子供より性質(タチ)の悪い夫と、夫の悪いところばかり似てしまった息子と暮らす芳恵。ある日、ついに堪忍袋の緒が切れーー『崩れる』。

子供をあまり欲しがらない夫に対し苛立ちを抱えていた亮子は、マンションの隣家から漂う臭いにも悩まされていた。そういえば、隣家からたびたび聞こえていた母親と娘の喧嘩が、最近聞こえてこない。亮子は嫌な予感を覚えーー『腐れる』

他6話収録の短編集。

感想

「結婚にまつわる八つの風景」と副題があるだけあり、内容はいずれも結婚に関するものです。夫婦に関する話。結婚相談所で働く独身女性に関する話。結婚を選ばなかった女性の話。結婚を控えた男女の話などなど……。

タイトルからして、どの話もバッドエンドな感じがありますが、必ずしもそうではありませんでした。

個人的に「好きだ」と感じた『腐れる』は、最初は妻の妊娠を喜ばなかった夫でしたが、最終的には「父親」としての自覚(覚悟?)ができたのか、喜んでくれました。「夫婦」として新たに歩き出した二人に安堵し、ハッピーエンド。

……しかし、隣家から漂う悪臭が何なのか判別されず、いい意味で「後味の悪い」終わり方をしています。

他に好きなのが、表題作にもなっている『崩れる』。芳恵の家族にとってはバッドエンドですが、芳恵にとってはハッピーエンドでした。

正直、芳恵がクソ夫を刺したときは「ナイス!」と思ってしまいました(笑)味方をしてくれていた(かといって自分も芳恵に頼り切っている)息子を殺してしまったのは「やりすぎ」な感じはありましたが、芳恵の溜まりに溜まった鬱憤を考えると、仕方ないのかも……。

ただ、夫を刺し殺す前にいままでの恨みつらみをすべて爆発させてから刺してほしかったですね。刺されたとき、夫はきっと「え、なんで……?」と疑問に思ったままだったと思います。「お前が悪い」のだとはっきりと示し、夫には自責の念を抱いたまま死んでほしかったですね(あの夫じゃ、「自分は悪くない!」と言い張りながら死にそうだな……)。

ダメ夫だと、『壊れる』も「ざまぁw」でした。妻を蔑ろにしながら上司に対しては強く出られない情けない夫は、家庭を壊す気のない遊びの不倫をしていました。その不倫がバレて、家庭が「壊れる」という話です。ダメ夫ぶりはぜひ作品をご覧ください。

ラストがはっきりと描かれず、少し心に影を差したまま終わる話が多いため、読後感は全体的に(いい意味で)良くないです。展開は予想しやすいですが、イヤミス系が好きな方はこの短編集をより一層楽しめると思います。

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