こんにちは、松波慶次です。
今回読了したのは、「煙か土か食い物」です。
以下ネタバレ注意です!
タイトル:煙か土か食い物
著者:舞城王太郎
目次
あらすじ
凄腕の外科医、奈津川四郎は、自身の母親が地元で起きている主婦殴打生き埋め事件の被害者になったことを知り、犯人への復讐を決意する。
犯人を追いながら、奈津川家に昔からあった暴力の過去、失踪した兄、自殺した祖父の謎などが解明されていき……。
感想
アメリカの映画を観ているような文章表現、疾走感、英語(カタカナ表記)の絶え間ない出没。
いままでに味わったことのない「物語の世界」で、とても面白かったです。
奈津川家の兄弟は、四郎を含む四人兄弟で、分かりやすく一郎、次郎、三郎、四郎……。父、丸雄の性格を知ると息子たちの名前が単純なのも頷けてしまいます。
次郎の暴力は読んでいて「痛いっ!」と思い、背筋がゾワッとするものばかり。
しかし、私が真にゾワッとしたものは、四郎が行なった応急処置。サスペンスものやグロ系の物語は得意ですし好きですが、例えば「喉に管を通す」や「動脈を縫合する」など、医術的な具体的表現が「痛い痛い」となりました。
なぜそういう医術具体的なもののほうがゾワッとするのか……リアルだからですかね?笑
「鎖骨骨折」という文章も、ゾワッとします。首元だから、恐怖が増すのでしょうか?
何はともあれ、物語はすっきり完結。
「丸雄のやろう……!」と思っていたのが、最後には「丸雄、いままで悪かった」と、四郎のような心情に。
この破茶目茶・四郎の活躍を、また見たいと思うほど、奈津川四郎は個性ある魅力的な人物でした。
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