こんにちは、松波慶次です!
今回ご紹介するのは、実際にあった事件をモチーフに描かれた身の毛もよだつ恐ろしい小説『ケモノの城』です。
これはグロ耐性ない人には相当キツイと思います。
以下ネタバレ注意です!
タイトル:ケモノの城
著者:誉田哲也
あらすじ
1人の少女が、警察に保護を求めてきた。警察が少女のいたアパートに向かうと、女が1人。2人は梅木ヨシオという男により監禁、拷問を受けていたという。
しかし、少女の父親がいないこと、浴室から大量の血液反応が出たことで、事件は一変する。
彼女たちは、被害者であり、加害者であるーー。
凄惨な事件の内容が、語られ始めた。
感想
この小説は、「北九州一家監禁殺害事件」(リンク先:Wikipedia)をモチーフに描かれています。
1人の男が女に取り込み、虐待、拷問をして逆らえなくし、マインドコントロールをする。
生活する金は、女の親族や知り合いに借りさせ、借りられなければまた拷問。
しまいには女の家族も取り込み、全員の衣食住を支配下に置き、家族間で監視、暴行を加えさせることにより孤立させる。
それにより、逆らえなくさせ、益々マインドコントロールが容易になる。
死んだら、自らは手を出さず、死体の処理をどうするか支配下の人間たちに考えさせ、処理させる。
男は、何もしない。
ただ、言葉と、暴力と、拷問を与えて飼い主になるだけ。
あー! 書いてるだけで恐ろしい!
いま書いた概要は、小説の内容でもあり、実際の事件の内容でもあります。
拷問の内容も、残虐。電気、ペンチ、ハンダゴテ。殴る蹴るもあり。
日中はずっと立ちっぱ、寝るときは体育座りで、壁に寄りかかることや寝転がること禁止。
破れば、拷問が待っている。
拷問中に排泄したら、出たものは自分か、他のものが片付ける……食べてね。
死体は解体→煮込む→ミキサー→川やトイレに放流です。
もう、胸や喉のあたりがむかむかして、気持ち悪くて、胸糞悪くて……こんなことが実際にあったなんて、恐ろしすぎます。
そんな簡単に洗脳されるものなのか? と思ってしまいますが、よほど男の言動が「騙す」ことに長けていて、一度手中に落ちたら、人を人とも思わない性格だったのだろうと思います。
また、小説の中の被害者たちについてですが、体面を気にしたり、気弱な性格であったりしたので、そのために、助けを求めることができなかったのでは、と思います。
助けを求められない……支配されやすく、それを良しとしてしまったのではないかと。
この話は、ヨシオ側の話だけでなく、もう一つ、一組のカップル側の話も交互に入ってきます。
それがまた、この小説をいい意味ですっきりしない終わり方に導くことになるので、重要です。
そのカップルは辰吾と聖子というのですが、読み進めていて思ったのは、「2人とも殺されなくて良かったぁ〜」でした。
殺されるんじゃないか、とヒヤッとする展開、場面があるのです。
殺されなくて良かったけど、2人の結末も苦しいものでした。
冒頭でもいいましたが、グロ耐性ないと結構キツイ作品だと思いますので、これから読む方は覚悟してお読みください。
最後に……こんな凄惨なストーリーの中で、辰吾の聖子に対する愛の思い、「誰にも渡さない」等々の言葉を読んでいるときに、くさぁwwと思いまくっていたことも報告しておきますね。
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