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【過去を運ぶ足】男女の愛憎が静かに恐ろしく描かれる短編集

こんにちは、松波慶次です。

今回ご紹介するのは、初読み作家さんである阿刀田高氏の『過去を運ぶ足』です。

以下ネタバレ注意です!

タイトル:過去を運ぶ足
著者:阿刀田高

あらすじ

一話数ページの話から数十ページの話まで。

男女の愛憎。日常に渦巻く嫌悪や憎悪が、男か女へ死を招く。

十五話収録の短編集。人のありのままの私生活を覗き見るような、日常に溶け込んだ殺意を目の当たりにする。

感想

初読み作家さんでしたが、読みやすく、すらすらと物語の中に入っていきました。

物語の中に入っていくというか、外から他人の日常を覗いているような(笑)

それほど、日常を描くのが上手で、登場人物の心情なども手に取るように分かりました。だからこそ、怖かった!

基本、男女の愛憎の物語になっています。

「妻さえいなければ別の好いている女と結婚できるのに……」

「こんな男と結婚しなければよかった……」

嫌悪や憎悪、無関心や小言。熱が冷めた、お互いを思いやれない男女にありがちな状況、感情が描かれています。

もちろん、話はそれで終わりではありません。その気持ちが高まり、殺人という選択を取ります。

ただ殺すのではなく、「意味が分かると怖い話」のような描かれ方なので、面白いです。

どの物語も楽しめましたが、私は『幸福を交換する男』(交換を持ちかけた男のイメージは、喪黒福造でした(笑))・『蠢く夜』・『毒のある女』・『不在証明』・『窪んだ壁』が印象に残っていますね。

さらっと読めて、人間の怖さを感じられる面白い短編集なので、おすすめします。

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