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【重力ピエロ】落書きと放火魔の関係を追う兄弟と父!じんわりくる家族小説

こんにちは、松波慶次です。
今回ご紹介するのは、伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』です。

以下ネタバレ注意です!

タイトル:重力ピエロ
著者:伊坂幸太郎

あらすじ

泉水と春の兄弟は、包容力の高い父と美しい母の息子。しかし春は、父の実子ではなく、母を強姦した男の遺伝子を継ぐ子どもだった。

父母は春を生むことにし、四人家族は他の家族と何の変りもなく、幸せに暮らしていた。

大人になった泉水は、最近起きている放火事件と落書き(グラフィティアート)が関係あるという春の話を聞き、独自捜査に付き合うことに。

辿り着いた真相は、泉水たち家族を悩ませるものだったーー。

感想

あらすじや内容を知らずに手に取りました。そして、背表紙のあらすじを読んで「サスペンス系かぁ。面白そうだな」と思って読み進めたら、もっと深いものが!

サスペンス要素も楽しめるのですが、この作品は、深い家族愛、兄弟愛の話です。

強姦によって春を身籠った母。しかし、その子どもを「生もう」と決断した父。生まれた春を、我が子のようにかわいがり、泉水と分け隔てなく愛した父母。事実を知った泉水も、春を敬遠することなく仲睦まじい兄弟として一緒に育ち、一緒に悪さもしてきました。

もし自分が父親の立場だったら? 強姦され子を身籠った妻に「生もう」と言えるか? 自分の子どもではないのに、憎き強姦魔の子どもなのに、実子と同じように愛せるか?

泉水と春の父親は、本当に包容力がある、知的な人です。だからこそ、春もグレルことなく、家族の愛を感じながら成長することができたのでしょう。

もちろん、母親もとても素敵な方でした。春のぶっとんだ行動は、母親に似たんでしょうね。並外れた行動力と意思の強さ。この家族はきっと、いつも明るかったと思います。

春のストーカー・夏子さんの存在や、怪しい男・葛城の素性は、作品を読み進めるにつれて予想がつきました。

作品自体、ずっと平坦な道を進んでいるような感覚でしたが、ストーリーの予想ができたことも、たんたんと読み進めていくことも、すべてひっくるめて楽しかったです。

遺伝子の話も面白かったです。癌細胞は、早く撲滅されてほしいですね。

最後、お父さんの癌が治らず亡くなってしまったところは、目が潤みました。泉水と春が父の葬儀をしているシーンは、悲しくて、優しくて、「その家族にしか分からない繋がりや絆があるんだから、よく知らない人が口を出さないでほしい」と思いました。(実際に口は出されていませんでしたが、泉水と春が「不謹慎だと思われそう」なことをしていて、泉水が「不謹慎だと思われそうだな」と言っていたので、「他人が、家族にしか分からない絆を乱すべきではないよな」と思ったのです)

兄弟愛、家族愛の小説を読みたい方や、少しずつ読み進めたい方(章が細かく区切られています)に、おすすめです。

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