こんにちは、松波慶次です!
今回は綿矢りささんの『憤死』をご紹介します。綿矢さん……実は初読み作家さんです。
以下ネタバレ注意です!
タイトル:憤死
著者:綿矢りさ
あらすじ
ホラーとは違う、4作収録のゾッとする短編集
- おとな……覚えている、子どものころの出来事
- トイレの懺悔室……仲良し子供たちと近所のおじさんの交流。そして、歳をとったおじさんはーー。
- 憤死……自慢しいの女友達を卑下し、その傲慢さや憤りぶりに尊敬を抱く女主人公の話。
- 人生ゲーム……盤上の人生ゲームのあるマス目に、知らない男が3つ丸をつけた。2人の親友は丸をつけられたマス目に書かれた通りになり、自殺。そして、主人公はーー。
感想
綿矢りささんと聞くと、『蹴りたい背中』が浮かびます。
しかし、同作を読んだことがなく、今作『憤死』が、綿矢さんの作品で初めて読むものとなりました。
文章の書き方も、ストーリーも、綿矢さんのものに初めて触れましたが、面白かったです。
コメディちっくなものか、ヒューマンドラマ系の短編集かと思いきや、読んでみると、ホラー小説とはまた別のゾッとする怖さがありました。
それは、人間的な怖さです。
『おとな』は、綿矢さんの実体験なのかと思ってしまうような、冷えを感じる作品。
『トイレの懺悔室』では、歳をとったおじさんを善意で介護していると思いきや、恐怖で支配していた。
『憤死』では、1人でいるのが嫌で一緒にいた友達を、内心では卑下し馬鹿にしていた。
『人生ゲーム』は、収録されている他作とは感じるものが違う。親友2人の自殺までは怖かったのですが、最後は主人公と同じように自分の思い出をつい振り返ってしまい、物悲しくなりました。
軽やかな文体で読みやすかったです。それでいて、情景はしっかりと目に浮かびます。
今作は短編集だったので、綿矢さんの長編作品も読んでみたくなりました。
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