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【方舟】閉鎖された地下施設で極限状態での犯人捜し!推理の果ては?

こんにちは、松波慶次です。
今回ご紹介するのは、『方舟』です。

巨大な地下施設に閉じ込められたなかでの殺人事件。クローズドサークルものですが……。

以下ネタバレ注意です!

タイトル:方舟
著者:夕木春央

あらすじ

柊一は、従兄の翔太郎と大学時代の友人たちと7人で山の奥にある地下施設を見に来た。しかし、下山時間がなくなったため夜が明けるまでその施設に一泊することに。

きのこ狩りをしていて道に迷ったという矢崎一家3人も加わり、10人で夜を過ごしていると、地震が発生。巨大な岩によって出入り口が閉ざされてしまう。

岩を動かすには、巻き上げ機を操作するしかないが、そうなると、操作した人物は地下施設に取り残される。徐々に浸水している地下施設。脱出した面々が救助を求めようにも、猶予は残されていない。

誰が犠牲になるかーー。不穏な空気が満ちるなか、殺人事件が発生する。

感想

いくら下山困難な時間だからとはいえ、よく分からない、素人が作ったような危なげな地下施設に勝手に入り、勝手に発電機を動かし、一泊過ごそうだなんて、大人が思うことかな? とか、最初は疑問に思いながら読んでいましたが、そんな疑問を忘れるくらい、ストーリーの面白さに没頭しました。

柊一の従兄・翔太郎が探偵役。いろいろ調べ、推理し、考えを披露して、みんなをまとめていきます。ミステリー小説には、こういう探偵・進行役が不可欠だよね、とか思いながら、ミステリー小説らしいな、なんて読んでいたら、「エピローグ」から自分の心臓の鼓動が聞こえるくらい、ハラハラというか、不吉な予感がして、ページを捲るのが楽しみだったり、怖かったり。

下手に探偵ごっこをするのもよくないとか、やっぱ素人の推理は当てにならないとか、まぁなんというか、犯人のほうが一枚上手。いや、一枚どころか、最初から手のひらの上で転がされていたというか。

探偵役がいるストーリーにしては珍しい、結末。イヤミス好きとしては、好きなラストだけど、登場人物たちの立場を考えると、本当に、悲惨で凄惨。

あの極限状態で、冷静に状況を整理して、どうすれば自分が生き残れるかを瞬時に考え実行できる……恐ろしい。

「ネタバレ注意」と書きながらも、あまりにネタバレすぎるのもと思い、濁しながら書いてるけど、なかなか大変(笑)

これだけは言えるのは、とても面白かった。文体も読みやすいので、ミステリー好きな方、クローズドサークル好きな方は、ぜひ読んでみてください。