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【歴史】一生一緒にいてくれや~摩訶不思議戦国アドベンチャー⑯~

こんにちは、松波慶次です。

小説投稿サイト「エブリスタ」に投稿していた短編コメディ小説「摩訶不思議戦国アドベンチャー」第16弾。

ひとまず、これでエブリスタ投稿作品としては最後になります。

※執筆時期は1、2くらい前

一生一緒にいてくれや

斎藤道三は居室であぐらをかき、悩んでいた。
すると、そこに娘である帰蝶が襖を開け、入ってきた。

「失礼します。父上。お呼びでしょうか?」
「あぁ、悪いな帰蝶。実は、相談があってな……」

上目遣いで父を見つめる帰蝶の目を直視せず、道三は腕を組み顔を顰めた。

「俺がな、部下たちと廊下とかですれ違うとき、皆が皆、『一生一緒にいてくれや』と歌うように口ずさむんだ。何あれ? 何で俺告白されてんの? しかも男に。すごく気待ち悪いんだけど」

心底嫌そうな顔をする道三に、帰蝶はそんなことかと溜息を吐く。そして、なんてことないように言い放った。

「父上、それは『三木道三』の『Lifetime Respect』の歌詞の一部です。三木道三が恋を歌う歌というか、愛を語っています。父上の名前と掛けているだけでしょう。別に、告白をしているわけではありません」
「なんだー。そういうことか。いやー、てっきりみんな頭おかしくなっちゃったのかと思ったよ」

道三は謎が解けて安堵の表情を浮かべる。しかし、そのにこやかな顔が途端に固まり、眉間に皺を寄せ険しくなった。

「ってことはだ、帰蝶」
「はい」
「俺は名前で遊ばれているということか? 部下に、舐められているということか?」
「そういうことになりますね」

しれっと言う帰蝶は平常運転。道三はそんな娘の態度に傷付き、「一生一緒にいてくれや」の事実にも傷付き、項垂れた。
だが、帰蝶は小さな咳払いをすると、顔を伏せた。

「ですが、それだけ親しみやすい、距離が近い主従関係であると言えますでしょう。父上、良きことですよ」
「帰蝶……」

心に花が咲くような気がした。道三は涙ぐみながら、娘を見つめる。
その娘が、実は顔を伏せながら一生懸命笑いを堪えているという事実も知らずに。

あとがき

斎藤道三と、三木道三……(笑)

当時、私が友達に斎藤道三の話をしたら「三木道三なら知ってるけど」と言っていたため、出来上がった話ですね。

三木道三の歌も好きですよ。
もちろん、斎藤道三も大好きですよ。

冒頭にも書きましたが、「エブリスタ」に投稿していた「摩訶不思議戦国アドベンチャー」はこれにて最後になります。

このようなふざけた作品を、お読みいただきありがとうございました。

歴史に興味なかった方が、少しでもご興味持っていただけたのなら、またそれも嬉しく思います。