こんにちは、松波慶次です。
小説投稿サイト「エブリスタ」で短編で連載していたコメディ小説「摩訶不思議戦国アドベンチャー」の第6弾!
今回は、戦場を駆ける馬の気持ちを書きました。
※執筆時期は1、2年前くらいです
馬防柵
1575年、長篠の戦い。
織田、徳川連合軍と武田軍の戦いである。
織田が構えるわ、大量の火縄銃。その前には、武田騎馬隊の侵攻を妨げるための馬防柵が並んでいる。
騎馬隊の馬は、思うのであった。
「いやいや銃めっちゃあるやん。あんなん突っ込んでったら速攻やられますわ」
「銃器相手に俺ら生き物でっせ? 無理ですやんそんなの。それでも行くんかいな」
「ちょっ、邪魔やねんこの柵! 進みづらいわぁ全く。足元も田畑で泥だらけやん。踏み込むとか困難ですわ」
「いやっ、だから無理やって! 周りの仲間ばんばんやられとるやないか! 俺、まだ生きてたいんねんけど」
そして、武田軍の敗北で、この戦は終わる。
「だから言ったやないか!」
戦場(いくさば)にその身を残した馬は、最期に思い切り突っ込んだあと、静かに息を引き取ったーー。
完
あとがき
長篠の古戦場に、快晴の日に足を運びました。
馬防柵から見える景色は、田畑が広がり、とても綺麗でした。
そして、「ここで長篠の戦が起こったんだ……」と、当時に思いを馳せ胸が苦しくなりましたね。
私が好きな山県昌景が戦死。
他にも、馬場信房や内藤昌豊など、武田信玄の代から仕えていた武将たちが大勢亡くなったので。
……そんな壮絶な戦だったのに馬の気持ち書くって(笑)