こんにちは、松波慶次です。
今回はメフィスト賞受賞作『人間に向いてない』をご紹介します。
以下ネタバレ注意です!
タイトル:人間に向いてない
著者:黒澤いづみ
あらすじ
異形性変異症候群は、ニート、引きこもりなどいわゆる「社会不適合者」の若者を突如として襲う奇病。その奇病に罹り、ある日美晴の息子である優一は、芋虫となった。
高校中退、22歳で引きこもりだった息子。その息子と上手く向き合えないまま過ごしていた日々。
そして、芋虫となりコミュニケーションがとれない状態に。
美晴は息子とどう向き合っていくのかーー。
感想
カフカの『変身』を彷彿とさせる物語。しかし、内容は大きく違う。
異形性変異症候群に罹った人は「変異者」と呼ばれるのですが、みんななかなかグロテスク。
優一は人間の指が生えた芋虫。
他には、肉塊の中に人間の目と口があったり、人面犬だったり。
想像するとゾッとするものばかりです。
親子の関係。
向き合い方。
愛情。
それらを変異者になった息子と母親で描く、「親子とは?」を考えさせられる物語。
自分の息子が芋虫になったら?
娘が人面犬になったら?
そのとき、どうする?
芋虫となった優一が固まってしまったときは、「サナギかな? このあと羽化して優一が出てくるのかな?」と思ったのですが、それは当たりでした。
サナギなのかは分かりませんでしたが、結果として優一は人間の姿になって芋虫の中から出てきました。
愛情を注ぎ直した母親とのハッピーエンド。
言ってしまうと、そこが少し物足りなかった。いい話で終わってしまったので、ここまでグロテスクな話だから、後味の悪さが欲しかったなぁ、と思ってしまいました。
ストーリーは、面白かったんですけどね。単に、私の好みの問題です。
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