こんにちは、松波慶次です!
第13回メフィスト賞を受賞した『ハサミ男』のあらすじと感想をまとめています。
以下ネタバレ注意です!

タイトル:ハサミ男
著者:殊能将之
あらすじ
少女を絞殺し、首に鋭利に尖らせたハサミを突き立てる「ハサミ男」。
「わたし」は3人目の少女の行動を詳細にリサーチし、殺害する計画を入念に立てていたが、ある日、自分の犯行とまったく類似したやり方で少女が殺された。
誰がターゲットを殺したのか。「わたし」は探偵のように、「犯人捜し」を開始する。
感想
Xの読書アカさんがよく投稿しているのを見ていて、気になっていた1冊。でも読んでみると、無理やりなリード感があって、手放しで「面白かった!」とはなりませんでした。
まず読み始めてすぐに、私は「わたし」(ハサミ男)が最初から「女ではないか?」と疑っていました。「わたし」という一人称、胸元が空いた状態で玄関を開け、刑事を部屋に入れようとしたら刑事が断ったところなど、「女」と推測できるようなところがあり、案の定、安永という女が「ハサミ男」の正体でした。
小説内ではすでに世間も医師も「ハサミ男」と呼んでいましたが、なぜなのか、「少女ばかりを狙うから犯人は男」=「ハサミ男」となっていたのか、じゃあ医師が「わたし」に対してそう呼ぶ理由は? 医師自体が妄想だから? 安永は自分のことを「でぶ」だと言って「日高」だと読者に思わせた。
だから犯人は男に違いない、日高に違いないという先入観を植えつけたが、もう少し説明や内情が欲しい。なぜ「ハサミ”男”」と世間や医師から呼ばれているのか、なぜ「でぶ」だと思いこんでいるのか、理由がないとちょっと無理矢理「どんでん返し」を作った感じがした。(といっても私は「わたし」が女だと思っていたから衝撃はなかったけど。堀之内が犯人というのには驚いたが)。
でぶと思い込んでいるところも含めて、安永の過去、人格などについてももう少し話が欲しいところ。父親が見舞いに来たときに「母親」の話が少しだけ出たが、母親との関係性は? 安永が男らしい話し方をすることや多重人格? 妄想人格? をもつ背景、ハサミを突き立てる行為や頭のいい少女ばかりを狙う意味なども示されていると、もっと納得して物語を楽しめたと思う。
ストーリーに関して思うところはあるけど、医師のキャラがよかった。すぐにいろんな本の引用をしたり口出ししたりして剽軽。だけど時折悲しげで切なげ。
「わたし」と刑事サイドの切り替えもきれいで、緩急があり、続きが気になって、キリのいいところまで読んで寝ようかなと思っても、ついつい「もうちょっと」と読み進めてしまった。
トータルでは、「面白い」と思える作品でした。