こんにちは、松波慶次です。
今回ご紹介するのは、阿刀田高氏のエッセイ集『左巻きの時計』です。
以下ネタバレ注意です!
タイトル:左巻きの時計
著者:阿刀田高
あらすじ
7、8割がサラリーマンの読者層だといわれる「夕刊フジ」に連載されていたエッセイを文庫化。
全篇で104話あるが、堅苦しい話などほとんどない。雑学や下ネタなど、ふふっと笑えて誰かに話したくなる、そんなユーモアたっぷりのエッセイ集。
感想
一篇3ページほどのため、ささっと読み進められます。何かの作業中に「一息入れたいな」と思ったら、手に取って阿刀田さんのユーモアたっぷりの話で気分転換。
読者層がサラリーマンということもあり、内容は下ネタが多いです。あとは、男女のこと。でも、下品ではありません。下品どころか、「なるほどー!」と勉強(?)になること多数(笑)
『テステスの言語学』なんて、英語の勉強のために読むべきですね。勉強する側だけでなく、教える側も。こういう教え方なら、英語が苦手な人でもすんなり英単語を覚えられそうです。
『スキャンダルをあばく』は、言葉として考えさせられました。確かに、「あばく」から「スキャンダル」なんですよね。
でも、いくら「ご飯を炊く」などの”を”が格助詞として”動作の結果を表す”としても、「ウンコを食べる」はないでしょう……。これは「ご飯を炊く」などとは同列に使用できませんね。
男女のことだと、『ベター・ハーフ』が面白かったです。
「人間はもともと男女一体で、生を受けたときに男と女に分かれた。だから、分かれた半身を捜し当て結婚するのだ」
という思想があるらしいですが、現実的に考えると確率が低いから、
「半身を捜し当てられれば素晴らしい結婚生活を送れるが、実際には仲のいい夫婦などありえない」
と考えるために役立つ思想な気がする、とのこと。
うむ、確かに。何十億も人間がいる中で自分の半身なんて見つかるほうがどうかしている。なーんて考えて、阿刀田さんに共感。
作品を3つしか挙げていませんが、その他も内容が面白いのはもちろんのこと、阿刀田さんの人となりも分かって楽しいです。
気楽に読めるので、最近お疲れの方や忙しくて読書する時間がなかなかとれない方へ、特におすすめします。