こんにちは、松波慶次です。
今回ご紹介するのは、『日本列島七曲り』です。
このタイトルからは想像もつかないほど、狂った世界が広がっています。
以下ネタバレ注意です!
タイトル:日本列島七曲り
著者:筒井康隆
あらすじ
子供が誘拐された! 金を用意しなければならないが、銀行はやっていないし手持ちはない……じゃあ、他の人を誘拐して身代金を請求しよう!(『誘拐横丁』)
金目当てで結婚したおじいさんの後妻に童貞を奪われたくなくて家出した桃太郎。助けた覚えのないカメが呼んだ乙姫からもらった玉手箱は、タイムマシンだった。(『桃太郎輪廻』)
狂った世界や狂った人間が登場しまくりの11作収録の短編集。
感想
声を大にして言いたい。
乱交しまくりだよ!!
ほぼすべての作品が性行為有り。そして多くの作品で乱交有り。
誰彼構わず、夫以外の男と、妻以外の女と、いきずりの女と、ハチャメチャに乱交しまくりです。登場人物がたいてい狂ってるから(褒め言葉)、欲情するのも、ハッスルするのも、なんだか清々しい。
艶めかしくないから、官能小説ではない。かといって、下品でもない。もうね、これはね、ギャグ。
読んでいて、いい意味でバカらしくて、悩みなんて吹き飛びます。それどころか、次はどんなバカっぽい話が待っているのだろうかと、筒井氏のギャグワールドにまんまとハマってしまいます。
オ〇ニーすることでテレポートする、オナポートの話なんて、もうこの一文を読んだだけで「なんじゃそりゃ」と呆れてしまいますよね。
『郵性省』という話ですが、もうね、なんだよ「郵性省」って……って感じですよね。
『桃太郎輪廻』なんて童話の桃太郎を描いていますが、いや、描いてない? パロディ? だって、桃ではなく尻が川を流れてくるんです。キジは登場しません。鬼ヶ島にも行きません。地下鉄にも乗ります。
ちょっと何言ってるか分からない?
じゃあ、ぜひとも読んでみてください。落ち込んだときが、今作の絶好の読書タイミングです。
『誘拐横丁』、『桃太郎輪廻』、『ふたりの秘書』が個人的に特に好きでした。