こんにちは、松波慶次です。
今回ご紹介するのは、笑って学べる歴史小説『ギケイキ』です。
ギケイキとは、源義経記のことです。
以下ネタバレ注意です!
タイトル:ギケイキ~千年の流転~
著者:町田康
あらすじ
源義経の幼少期から弁慶との出会い、そして兄・頼朝との再会へ馬を走らせるところまでを描く歴史小説。
……と、いえば堅苦しいイメージになるが、今作はぜんっぜん堅苦しくない!
義経や弁慶、その他のモブキャラみ~んな現代語炸裂! 当時は確実になかった言語、物、場所の名前が出てくる出てくる!
なぜなら、義経が現代から過去を振り返って話しているからだ!
笑って学べる歴史小説!
感想
義経の話を現代に置き換えたら……の話かと思えば、舞台はまさに義経が生きていた時代。そこで、義経も弁慶も、その他の主要人物っぽい人たちもモブキャラも、み~んな現代語を話し何かナウい感じ!
独特な世界観に抵抗を感じるかと思いきや、すんなり「町田康先生」の歴史小説の中に入り込めました(笑)
「逆らえば殺せばいいし」
「菊門を狙っているのか?」
「きもっ」
などのような現代風&軽い言葉が飛び交い、ボケとツッコミのテンポの良さも心地よく、まるでコメディ劇を見ているようでした。
難しい言葉がないためさくさく読め、「面白い!」と感じながら読了。
しかし、ただ面白いだけじゃない。きちんと歴史も学べます。
私は歴史が大好きですが、源平時代はそこまで詳しくありません。義経や弁慶のことをざっくりとしか知りませんでしたが、今作で「義経が弁慶と出会うまではこういうことがあったのか!」、「弁慶は偉い人(弁聖)の子供だったのか! ってか61歳と19歳の夫婦ってやばいな!」など知らなかったことを知ることができ、文章が面白いだけでなく歴史的観点からも楽しめました。
歴史小説を読むとき、歴史好きの習性で、人物相関図や出来事を頭にインプットしていこうと意識しています。そのため、さくさく読めるけど、思いのほか読了までに時間がかかった気がします。
そのおかげで、義経と伊勢三郎義盛の関係や、弁慶の親が高貴な人で、暴れまわっても許されていたことや比叡山の僧侶だったことなど、人物や出来事の知識を吸収することができました。
……弁慶、顔が不細工だからっていじめられすぎていて可哀そうだったな(^^;
本人の粗暴さにも問題はあるけど(弁慶曰く、それは不細工だからといじめてくるやつらがいるから悪い。ってかそもそも、顔が不細工なのが悪い。顔が悪い)
あの太公望が軍略を記した『六韜』(りくとう)という書物の存在も知り、それが現代語訳されていたら読んでみたいな~と思ったり。(空中浮遊ができるとは思いませんが、なんか漲るパワーがありそうな予感(笑))
今作では義経が頼朝のもとへ馳せ参じるところで終わっています。「あれ? 続きあんのかなぁ?」と調べてみたら、続編『ギケイキ~奈落への飛翔~』があるようです。
これも読まねば!
歴史小説は難しいから苦手! という方は、まずは現代風コメディで楽しく歴史を学べる、『ギケイキ』からトライしてみることをおすすめします!
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