こんにちは、松波慶次です。
死刑場で、絞首台までの階段数は、13階段だと言われますよね。個人的には、そういう意味でも、「13」という数字には不吉なイメージがあります。
今回ご紹介するのは『13階段』です。
以下、ネタバレ注意です!!
タイトル:13階段
著者:高野和明
あらすじ
2年前、傷害致死罪で服役することになった三上純一は、仮釈放されることとなった。そんな三上に、刑務官の南郷正二がある依頼を持ちかける。
それは、10年前の強盗殺人事件で死刑判決を下された死刑囚、樹原亮の冤罪を晴らすというものだった。
三上は、10年前に自らが補導された因縁の地である事件現場に、調査のため足を踏み入れるーー。
感想
読後、抱いた感想は、やりきれない、でした。
描かれていませんでしたが、南郷はきっと無罪になったと信じております。
……いや、でもなぁ。三上の手紙があったから、やはり「殺意があった」と証言して、罪を償うのかなぁ?……ううむ。
今作は、「死刑制度とは何か?」「正義とは何か?」を問うたものであると思います。
不慮の事故で相手を死なせてしまった三上と、刑務官という仕事柄2人の人間を殺した南郷。三上に息子を殺された父親と、強盗殺人の罪を着せられた樹原。
複雑な背景を背負った男たちの、「誰が悪い」と言えない複雑な事情。
まぁ、強いて言うなら「佐村恭介が悪いだろう~」と思いますが。
佐村恭介とは、三上に突っかかり、不慮の事故で「殺害」された男です。
こいつは10年前にも最低な事件を起こしていまして、もう、救いようがないと言いますか……
お前が大人しくしていれば、こんなことにならなかっただろ
と小突きたくなります。
他にも、いい人だと思っていた人が実は悪人だったり……。
さまざまな人間模様を見ることができます。
作品の初めのほうですが、南郷が「家族と一緒に過ごしてパン屋を開く!」と言ったところで、「あ、これは死亡フラグだな」と思いました。
ただ、この場合の死亡フラグは「何らかの犯罪で逮捕される」ことだと予想していたら、まさに的中。
南郷のことが好きで、「サウス・ウィンド・ベーカリー」を開業してほしいと思っていた私は、「やっぱりな」と思うとともに、「南郷さ~ん(´;ω;`)」と悲しくなりました。
南郷と三上のペアが優秀で、仲が良くて、笑えて、大好きです。
検察官の中森さんもいい人でした。ですので、中森さんと南郷さんの「友人同士の会話」が
胸が締め付けられるとともに、安堵しました。
殺意があったら、殺人。
相手に襲われたとき、正当防衛で相手を死なせてしまった場合、「正当防衛」であったことを
立証しなければならない。
しかし、相手が自分を殺しにかかってるときに、手加減なんてそうそうできないと思います。
手加減したら、自分が死ぬかもしれない状況ですよ? 殺意があったか?
殺らなきゃ殺られる
そう思うことは、殺意があったと思われるのですかね?
正当防衛は、「咄嗟の出来事」で「故意ではなく相手を死なせてしまった」ら、正当防衛として無罪になるべきではないかと思います。
こう言ったところで、人間の心情とは複雑なものですよね。そのとき、そのときで人の思いや考えはミリ単位で変わります。
本当に正当防衛だったか? 実は因縁があったのではないか?
そういうのをはっきりさせるために、「法律」があってそれを解明する「裁判」があるのでしょうね。
言いたいことがまとまらなくなってきたので、ここらへんで失礼します。
一度は読んでおきたい、深く考えさせられる物語でした。
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